首都高5号線の高架下にある「狭い道」について ― なぜ1.7m制限？どうしてあんな構造になっているの？（板橋区・泉町〜前野町）

2025.10.28: Blog | 事例研究・ニュース分析

最近、X（旧Twitter）で「板橋区の首都高5号線下にある狭い道」が話題になっていました。車幅1.7mという標識と、ハの字型のコンクリートブロックが設置されている、あの道路です。

実際に現地を通ったドライバーの方から「ナビが案内したのに通れない」「車を傷つけそうになった」という声もありました。

私も区議会議員として板橋区土木部に確認を行いましたので、この道路の成り立ち・目的・現在の考え方を、できる限りわかりやすく整理してお伝えします。

1 どんな場所にあるの？
2 なぜこんな“狭い構造”があるの？
3 今も必要なの？
4 区はその後、何か手を加えているの？
5 ナビ（テスラなど）で案内される件について
6 今後の対応は？
7 まとめ
8 補足

どんな場所にあるの？

改めて現場を視察してきました。

この道路は、首都高速5号線の高架下を通る区道です。

正式には「区道第2692号線（上り方向）」および「区道第2693号線（下り方向）」と呼ばれ、泉町から前野町にかけて4か所の“狭窄（せまくなっている箇所）”があります。

道路そのものの幅はおおむね5メートルありますが、入口には「車幅1.7m制限」の標識と、ハの字型に設置されたコンクリート縁石があり、実際には軽自動車などごく一部の車両しか通行できない構造になっています。

区道第2692号線

出典：道路台帳平面図板橋

なぜこんな“狭い構造”があるの？

この区道は昭和50年代、首都高速道路の建設に合わせて整備されました。

当時、「通り抜けできるようにしてほしい」という要望が一方でありましたが、周辺の住宅地では「大型車が通ると危険」「生活環境が悪化する」といった反対の声も多く寄せられました。

区は複数回の説明会を経て、大型車両の通過を物理的に制限することで沿道住民の合意を得たという経緯があります。

その結果、昭和57年頃に『車幅1.7m以下のみ通行可』の道路として開通しました。

ハの字型の縁石は、その合意内容を実現するために設けられたものであり、単なる警告ではなく、物理的な進入防止策です。

今も必要なの？

その後、地域から区に対して「狭窄を撤去してほしい」というご意見は寄せられていません。一方で、私のもとには「大型車の抜け道化を防いでほしい」というお声も届いています。

この道は国道17号や首都高出入口に近く、もし制限を外すと通過交通が集中する可能性が高いため、現時点では撤去は検討されていません。

つまり、この“狭さ”は不便を強いるためのものではなく、周辺の生活道路の安全と静穏を守るための措置として位置づけられています。

区はその後、何か手を加えているの？

はい。平成24年度には、前野町4丁目の区間で道路線形の見直しや視線誘導灯の設置、警告看板の増設などを行いました。

夜間や雨天でも見やすく、安全に通行できるよう改善されています。また、損傷した縁石や標識の補修など、細かな維持管理も引き続き実施されています。

私が現場で確認したこの場所には、4本の警告板と、ハの字型の縁石の前には計8本の反射板付きポールが設置されていました。

ナビ（テスラなど）で案内される件について

SNS上では「テスラのナビで案内されて通れなかった」という声も見られました。

私自身テスラには乗ったことがありませんが、一般的なカーナビや地図アプリでは、実際の交通規制情報が必ずしも最新の形で反映されていない場合があります。

その一方で、多くのシステムでは「実際の交通規制に従って通行してください」という注意喚起が表示されることが多いですよね。

車載ナビや地図アプリのルート案内は民間事業者の判断と管理によるもので、区が直接制御したり要請を行ったりすることは通常ありません。

ただし、現地での標識や注意喚起のわかりやすさについては、区が改善できる余地もあります。

今後も必要に応じて、その点を区と確認していきます。

今後の対応は？

今回のようにSNSで注目されたことで、これまで気づかれにくかった「通行上の不安」も見えてきました。

今後は、

標識や予告看板の見やすさ
夜間の視認性
必要に応じた注意喚起の方法

といった改善策について、庁内での検討をお願いしていく予定です。

安全と生活環境のバランスを保ちながら、より分かりやすい形にできないかを、引き続き考えていきます。

まとめ

交通安全と住民生活の両立は、地域によって事情が異なります。

この区道の“狭さ”にも、当時の住民合意と安全への配慮が背景にあります。

今回の調査を通して、私自身も「なぜそうなっているのか」を改めて理解しました。

今後も区民の皆さんの声を伺いながら、安心して通れるまちの道路環境づくりを進めていきます。

補足

※本記事は、板橋区土木部管理課へのヒアリングをもとに、板橋区議・内田けんいちろうが要点を再構成したものです。

（詳細な資料に関しては板橋区へ情報公開請求をしていただければ、個人情報の黒塗り等必要な処理をしたのちに開示可能とのことです。）

活動報告

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